心を整えるとは、出来うる限りの準備をすること

 先日、久々のサッカーの試合中にセンターラインに沿ってトップスピードでボールを追いかけた。左サイドのタッチラインギリギリのボールがラインを割らないように縦方向へ左足のインフロントでパスを出したら、軸足の右足が耐え切れずにピキッといった。ヤバイと思ったら捻挫だった。前半20分で負傷退場。サッカー人生で初めての経験だ。なんというか、情けない。恥ずかしい。そんなG.W.の幕開け。G.W.は、テーマを決めてひたすら吸収する期間として自分の設計の中に組み込んでいる。読書はその一つ。

 「長谷部が本を書いたんだ。」新聞の広告欄で知った。現役プロサッカー選手で27歳だ。すごいなと思う。長谷部選手は、私が今一番好きなサッカー選手だが、それは今回書籍を購入した理由の第一ではなかった。書籍の紹介の横に「著者の印税は全額、ユニセフを通じて「東日本大震災」支援のために寄付させていただきます。」とあったのが最大の理由。その気持ちに心を込めて拍手を送りたかった。そして少しでも力になれればと、迷わずamazonで購入。

 [心を整える。] というタイトルには惹かれた。長谷部さんの具体的な考えや、日々実践していることが書いているので自分の思考の中に落とし込みやすい。ハッとさせられる考えはいくつかあったが、最も真横からぶつかられた感があったのは、(つまり意識できていなくて今最も欠けていると気づかされた事は、)「マイナス発言は自分を後退させる」だった。56の項目の中で一番痛かった。もし、5年前の自分だったらこんなことは無かったのだと思う。多分、「苦しいことには真っ向から立ち向かう」あたりに最も反応していたと思う。最近、仕事面で不満や愚痴が口からこぼれる事がある。理解を得られないことやベクトルの向きに対してマイナス発言が出てしまうが、単純にかっこ悪い。置かれている環境の中で強みを活かして成果を上げるしかないと思う。それがプロフェッショナルの仕事なのだろう。気持ちを切り替えようと思った。

 長谷部さんから本書を介して紹介してもらったのは、姜尚中著の[悩む力 (集英社新書)]。つい、先ほど読み終えた。同書の中で「「私」とは何者か。」という問いに対して、「自我というものは他者との関係の中でしか成立しない。人とのつながりの中でしか、「私」というものはありえない。」と。つまり、「「相互承認」しか方法はない。」と続きます。「承認してもらうためには、自分を他者に対して投げ出す必要がある。」という言葉には、ハッとさせられた。相手からの承認ばかりを求めていないか?と。

 一方で、力をもらったのは、「「まじめ」たれ」という一行。先日、私は他部署のマネジャー2人とお酒の入った食事をした。この4月から色々とプレッシャーがかかっているので、相談することもあったのだが、マネジャーがふと「君はまじめだなぁ。」と。その席に関わらず私自身まじめだと言われることがたまにある。姜尚中さんは、夏目漱石が『心』の中で、とても大事なことを教えてくれていると言われた。「それは、「まじめ」ということです。「まじめ」というのは、「中途半端」の対極にある言葉ではないでしょうか。(p.41)」と。背中をおしてもらえた気がする。その上でビジネスマンとしてのバランス感覚を磨いていくようにしたい。

 姜尚中さんは、自分への問いかけを続ける中で「解はみつからないけれども、自分が行けるところまで行くしかない。」という解が見つかったという。もしかしたら、PALTEKの高橋忠仁社長に学生時代に教わった、「40歳を過ぎて気づいた事がある。不惑とは、迷うということに迷わなくなるということだ。」という事と同一なのかもしれない。言われるとあたりまえのような気もするが、読んでみてスッと気が楽になった感じがある。

 気がつけば2011年になっている。姜尚中さんは、「自由を得たことと引き換えに、わたしたちはいま、慣習という歯止めに代わって生きる推進力になる何ものかを、それぞれが手に入れるよう強いられているのだと思います。これはたいへんな難行です。(p.156)」と言われる。今の私の置かれている状況は、「何でもしてよい」と言われるに等しい。ありがたい事だ。一方で、何をするかを自分で決めていかなければいけない。当たり前だが、それも具体的に。これは結構むずかしい。中長期だけではなく、短期の業績に直結もする。それでも、決まった事をやらされるよりも自由の方がきっと良いと思う。やはり、愚痴などこぼしている場合でもないか。

 何が生きる力になるのか、ということに対して「力になるものとは何なのかと問うていくと、それは、究極的には、個人の内面の充足、すなわち自我、心の問題に帰結すると思うのです。(p.157)」と述べられている。ここが重要で、自身を振り返ると昨年度の後半は渇いた感じが続いていた。最近、渇きが少なく焦りに変わってきた。乗り越えることで内面の充足に少しは近づけるのかもしれない。

心の軸足は、急な激しい動きにも耐えて捻挫しないように、折れないように日々トレーニング(鍛錬)しよう。トレーニングをやめると後で効いてくる。継続していることが大事であることを体感。ということで、G.W.を折り返そう。

私の5つの強みは:内省・最上志向・収集心・学習欲・親密性

[さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす]で自分の5つの強みをチェックしてみました。それによると、私の資質は、内省・最上志向・収集心・学習欲・親密性らしい。
以下は、結果。強みを活かせるようにしよう。自分を省みると、確かに書かれている資質に異論はないけれども、書かれていない資質が無いとも思わない。34項目中の上位5つということなので、当然だと思う。私にとって各強みの5番目以降34番目までの順位を見てみたいとも思う。そうなると、フォーカスができなくなるから良くないのかな。

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自分だけの特長的な資質
The Gallup Organizationが長年に渡って実施してきた調査によると、仕事を最も効果的に行うのは、自分の強みと行動を理解している人たちです。 このような人たちは、仕事や家庭生活で日々求められていることをやりこなす戦略的な能力に優れています。

自分にどのような知識やスキルがあるかを確かめることによって、基本的な能力はわかりますが、自分の本来の資質に気付き理解することによって、どのような行動を取ることで将来成功を収められられるかがわかります。

「自分だけの特長的な資質」のレポートは、あなたのStrengthsFinderの結果に基づき、上位5つの資質を強い順に並べたものです。 全34項目中、これらの資質があなたの強みの上位5つです。

「自分だけの特長的な資質」は、資質を最大限に活かし、将来の成功につなぐ手がかりとなります。 個々の資質に着目したり全体を概観することで、自分にどのような資質があるかをよく把握することができ、さらにそれらを強みとして成長させ、仕事やプライベートの両面で一貫してよい結果を得ることができます。

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●内省

 あなたは考えることが好きです。あなたは頭脳活動を好みます。あなたは脳を刺激し、縦横無尽に頭を働かせることが好きです。あなたが頭を働かせている方向は、例えば問題を解こうとしているのかもしれないし、アイデアを考え出そうとしているのかもしれないし、あるいは他の人の感情を理解しようとしているのかもしれません。何に集中しているかは、あなたの他の強みによるでしょう。一方では、頭を働かせている方向は一点に定まっていない可能性もあります。内省という資質は、あなたが何を考えているかというところまで影響するわけではありません。単に、あなたは考えることが好きだということを意味しているだけです。あなたは独りの時間を楽しむ類の人です。なぜなら、独りでいる時間は、黙想し内省するための時間だからです。あなたは内省的です。ある意味で、あなたは自分自身の最良の伴侶です。あなたは自分自身にいろいろな質問を投げ掛け、自分でそれぞれの回答がどうであるかを検討します。この内省という資質により、あなたは実際に行っていることと頭の中で考えて検討したことと比べた時、若干不満を覚えるかもしれません。あるいはこの内省という資質は、その日の出来事や、予定している人との会話などといったような、より現実的な事柄に向かうかもしれません。それがどの方向にあなたを導くにしても、この頭の中でのやりとりはあなたの人生で変わらぬものの一つです。

●最上志向

 優秀であること、平均ではなく。これがあなたの基準です。平均以下の何かを平均より少し上に引き上げるには大変な努力を要し、あなたはそこに全く意味を見出しません。平均以上の何かを最高のものに高めるのも、同じように多大な努力を必要としますが、はるかに胸躍ります。自分自身のものか他の人のものかに関わらず、強みはあなたを魅了します。真珠を追い求めるダイバーのように、あなたは強みを示す明らかな徴候を探し求めます。生まれついての優秀さ、飲み込みの速さ、一気に上達した技能――これらがわずかでも見えることは、強みがあるかもしれないことを示す手がかりになります。そして一旦強みを発見すると、あなたはそれを伸ばし、磨きをかけ、優秀さへ高めずにはいられません。あなたは真珠を光り輝くまで磨くのです。このように、この自然に長所を見分ける力は、他の人から人を区別していると見られるかもしれません。あなたはあなたの強みを高く評価してくれる人たちと一緒に過ごすことを選びます。同じように、自分の強みを発見しそれを伸ばしてきたと思われる人たちに惹かれます。あなたは、あなたを型にはめて、弱点を克服させようとする人々を避ける傾向があります。あなたは自分の弱みを嘆きながら人生を送りたくありません。それよりも、持って生まれた天賦の才能を最大限に利用したいと考えます。その方が楽しく、実りも多いのです。そして意外なことに、その方がもっと大変なのです。

●収集心

 あなたは知りたがり屋です。あなたは物を収集します。あなたが収集するのは情報――言葉、事実、書籍、引用文――かもしれません。あるいは形のあるもの、例えば切手、野球カード、ぬいぐるみ、包装紙などかもしれません。集めるものが何であれ、あなたはそれに興味を引かれるから集めるのです。そしてあなたのような考え方の人は、いろいろなものに好奇心を覚えるのです。世界は限りなく変化に富んでいて複雑なので、とても刺激的です。もしあなたが読書家だとしたら、それは必ずしもあなたの理論に磨きをかけるためではなく、むしろあなたの蓄積された情報を充実させるためです。もし旅行が好きだとしたら、それは初めて訪れる場所それぞれが、独特な文明の産物や事柄を見せてくれるからです。これらは手に入れた後、保管しておくことができます。なぜそれらは保管する価値があるのでしょうか? 保管する時点では、何時または何故あなたがそれらを必要とするかを正確に言うのは難しい場合が多いでしょう。でも、それがいつか役に立つようになるかどうか誰が知っているでしょう。あらゆる利用の可能性を考えているあなたは、モノを捨てることに不安を感じます。ですから、あなたは物や情報を手に入れ、集め、整理して保管し続けます。それが面白いのです。それがあなたの心を常に生き生きとさせるのです。そしておそらくある日、その中に役に立つものが出てくることでしょう。

●学習欲

 あなたは学ぶことが大好きです。あなたが最も関心を持つテーマは、あなたの他の資質や経験によって決まりますが、それが何であれ、あなたはいつも学ぶ「プロセス」に心を惹かれます。内容や結果よりもプロセスこそが、あなたにとっては刺激的なのです。あなたは何も知らない状態から能力を備えた状態に、着実で計画的なプロセスを経て移行することで活気づけられます。最初にいくつかの事実に接することでぞくぞくし、早い段階で学んだことを復誦し練習する努力をし、スキルを習得するにつれ自信が強まる――これがあなたの心を惹きつける学習プロセスです。あなたの意欲の高まりは、あなたに社会人学習――外国語、ヨガ、大学院など――への参加を促すようになります。それは、短期プロジェクトへの取組みを依頼されて、短期間で沢山の新しいことを学ぶことが求められ、そしてすぐにまた次の新しいプロジェクトへに取組んでいく必要のあるような、活気に溢れた職場環境の中で力を発揮します。この「学習欲」という資質は、必ずしもあなたがその分野の専門家になろうとしているとか、専門的あるいは学術的な資格に伴う尊敬の念を求めていることを意味するわけではありません。学習の成果は、「学習のプロセス」ほど重要ではないのです。

●親密性

 親密性という資質は、あなたの人間関係に対する姿勢を説明します。 簡単に言えば、親密性という資質によって、あなたは既に知っている人々とより深い関係を結ぶ方向に引き寄せられます。あなたは必ずしも未知の人たちと出会うことを避けているわけではありません――事実、知らない人と友人になるスリルを楽しむような他の資質を、あなたは持っているかもしれないのです――しかし、あなたは親しい友人のそばにいてこそ、大きな喜びと力を得るのです。あなたは親密であることに心地よさを感じます。一旦最初の関係ができあがると、あなたは積極的にその関係をさらに深めようとします。あなたは彼らの感情、目標、不安、夢を深く理解したいと思っています。そして、彼らにもあなたを深く理解してもらいたいと願っています。あなたは、このような親密さがある程度の危険性を含んでいることを知っています――あなたは利用されるかもしれないのです――しかし、あなたはその危険性を解かった上で受け入れます。あなたにとって人間関係は、それが本物である時のみ価値を持ちます。そして、それが本物であるかどうかを知る唯一の方法は、相手に身を委ねることです。互いの気持ちを共有すればする程、お互いの危険性も大きくなります。お互いの危険性が大きくなればなる程、自分たちの意思が本物であることを、よりはっきりと証明できるのです。これらが真の友情を築き上げるための一つひとつのステップであり、あなたはそのステップを喜んで進んで行きます。

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もてなすということ

 先日後輩が設けた接待の席がありました。今度、別の後輩が接待の席を設けます。初めての接待。「どうすれば良いですか?」と質問する気持ちは分かりますが、なんと応えましょうか。一通り話はしましたが、その席が円滑に進むために、何を伝えれば良いのかを改めて考える中で、本書に出会いました。私自身、接待にはまだ慣れていないですし心得ている上司・先輩からは色々な示唆をもらいます。なので色々なことを整理する目的で紐解きました。
接待の一流 おもてなしは技術です (光文社新書)

 大事なことは、おもてなしの心を持つこと。当たり前ですが、ホストに徹することを意識することです。つまり、自分が楽しむ前に相手が気持ちよくなる事に事前準備から細心の注意を払う。

 不慣れだと、接待のシュミレーションについて問われた時に具体的に応えられないことが多いです。たとえば、駅で待ち合わせてからどうするの?と聞くと待ち合わせてタクシーに乗って宿泊先まで荷物を置きに行く、と回答する。具体的には?と尋ねるとなかなか応えられない。たとえば、タクシーに乗車するときの配置。合計で4人になり、女性がいる場合は必ずしも教科書どおりの上座下座ではダメ。道中での会話の中身は?何を聞く、確認する必要がある?などなど。スタートからしてそれだから目的地に到着してからのシュミレーションも不十分。タクシーの降り方、店への入り方、店に入るまでの事前準備。お酒の勧め方から始まり、食事中の作法と会話の内容。相手のことを事前に知らないと美味しく召し上がれないし、相手が楽しむ話題をふれない。お手洗いに立つタイミング、会計のタイミングと同時にやっておくべきこと。お見送りの時の一言や準備。些細な事こだわれるようになって欲しい。

 後輩には、見えるまで考え抜くとよいと思う旨は共有できました。その上で実践して、もう少ししたらこの本を紹介したいと思います。大事なのは、気持ちなのでそれを表現する方法は後から身につけたほうが本質に近づけると思います。色々と考えると、自分が至らない点も見えてきます。心と心が通じる瞬間が分かる・体感できるのが営業の醍醐味の一つ。少しでも多く、感じていきたいし、感じて欲しいと思います。それが出来るとビジネスが円滑にいき相手も自分たちにとっても仕事がスムーズに進みます。そうか、結局は信頼関係ですね。

人生に偶然はない

 昨日の朝、Amazonで本を頼んだ。プライムの設定をしているから、早く届く。とはいっても、当日中に本当に配達されてくるとは思わなかったのでびっくり。敬意を表してそのまま読みました。カズが書いていた日経新聞の隔週コラムのまとめ本です。
「やめないよ」 三浦和良著(新潮新書)

 2006年からの記事。1998年のフランスワールドカップでメンバー選考(「カズ、外れるのは、三浦カズ。」の岡田監督会見発表)に関する思いがどこかに載っているかなーと思っていたが、最後手前までなかった。それが、最後の最後、「人生に偶然はない」との切り出しで綴られた。

2010年シーズンをまとめます。人生に偶然はない。大分戦で輝けたのは偶然じゃない。だからこうも思う。1998年にW杯に行けなかったのも偶然じゃない。岡田武史監督がどうこうでもなく、僕に力がなかったのだと。努力が足りなかったのだと。 p.251 (2010.12.17)

 体が震えました。涙が出そうになりました。
 そして、もう12年も前の話なのだなと、改めて思いました。でも、(魂をフランスに置いてきて、)翌日からトレーニング再開して今につなげているって、人間として本当にすごいと思う。強い。

 カズとは比べ物になるはずもないのだけれど、自分自身は、20歳の時の最後の大会でメンバー入りできなかった。全国大会でベスト8で終った。出たかった。当然出るものと思っていた。そして、自分だったら相手の攻撃を完全に潰せたと思っていた。スタンドからみていた失点シーンは今でも鮮明に思い出す。そういえば、それも12年が経つ。努力が足りなかったのか?足りなかったなぁ。だから今も、続けているのだろうな。
でもね、それを返すのは、私にとってはビジネスでしかありえない。

 カズがこの本の中で言っていた。サッカー選手とビジネスマンの年齢を考えると2倍違いの感覚。サッカー選手の20歳〜25才のバリバリやっている時期がビジネスマンで言う、40歳〜50歳、と。
 カズの生き様を見習おう。

無競合を目指す営業スタイル

 気が付けば営業経験も7年になりました。これまで学んだ事を数回に分けて整理してみたいと思います。

●すごい営業マン
 自分の知る営業マンを見ていると、大きく2手に分かれる印象があります。「すごい」人と、「普通の」人。私が「すごい」と思う基準は、何かに秀でている人です。
例えば、
・生の情報量がとんでもなく豊富な人
・毎期継続して予算を達成する人
・クライアントの人脈が豊富な人
・あった瞬間に仲良くなる人
などなど。
 何かに秀でている人は、必ず「考え続けて」います。そして何かしらその人と連想してイメージできる「習慣」があると感じます。考え続けている対象と、習慣については、後日に譲るとして、今回は、国内の市場で営業目標(=予算)を達成するために、何をなすべきかについて、私の考えをまとめてみます。

●引合のスタートラインと成熟市場へのアプローチ
 国内の市場で営業目標を達成するためには、次の2点に焦点が絞られます。
  1)いかに、既存顧客での勝率を上げるか
  2)いかに、接点の薄い(無い)顧客にアプローチするか

 まずは、既存顧客での勝率を上げる事について。勝率を上げると書きましたが、目指すは勝率100%の状況をつくる事です。つまり、「引合のスタートライン」での立ち位置がどこなのか?実は、これが極めて重要です。スタートラインがマイナス(例えば、取引できない状態)である事もあれば、スタートラインがプラス(例えば、予算情報など競合上有利な情報をもらえる状況)の事もあります。理想を言うと、予算がついた瞬間に契約確定。つまり、無競合の状況。このスタートラインに立つために日常の活動があります。

●成熟市場だから必要な無競合
 この状況をどれだけつくれるかが、これからの営業マンにとっては分岐点になります。「これからの」と断ったのは、国内の多くの業界はいわゆる成熟市場であり、長期的には、市場が縮小していく事が目に見えている為です。競合していては、消耗戦になります。
 特異的な事例を武勇伝のように語る事に意味は無く、継続して成果を上げることこそが、重要だと強く思います。
 では、理想ともよべる継続した無競合には、どうすればなれるか? はい。私も知りたいです。おそらく、状況によって千差万別。10人100色の世界(笑)。

●私なりの答え
 私が心がけているのは、とにかくクライアントの仕事の中に入り込む事。入り込むと、眠っていても夢に出てきます。同様の経験は、周りの営業マンからも聞いた事があります。(この状態に入ると、体が持たないのと、楽しいのとが共存する感じです。)

その上で、
 そのクライアントの課題の背景にあるものは何か、本質は何か?
 そのクライアントの課題は、経営レベルの課題か、部門レベルの課題か、個人レベルの課題か?
という事を視点として、提案材料を練り上げます。その中で、ストーリーが描けてきます。

 また、提案材料を可視化する事も重要。なぜならば、その課題が経営レベル or 部門レベルであればクライアントは社内で報告や発表が必要になるから。その資料を共有できる事は、課題の本質の理解につながり、ひいては提案の検証ができます。数十件ある引合の中で、この経験を半年に2件するだけでも、若手営業マンの成長は大きく異なると思います。慣れると瞬間的にストーリーが描けます。自分で描いたストーリーは、瞬間的に修正も出来ます。機を逃す事がありません。
 さらに、自分が真剣に挑戦した事に対して、必ず結果が見えるから、真剣に反省できます。このサイクルを踏むのと踏まないのは、微差ですが、取り返しの付かない開きになると思います。
 もうひとつ考えなければならないのは、1件当たりの商談の額が予算に対して小さいケース。予算の10分の1の額の引合であれば少なくとも10件の引合が必要。まだ、勝率に不安がある場合は、その3倍の案件が欲しいところ。「やれば良いのは分かるけれど、そこまで時間が無い。」というコメントも分かります。でも、1回実践できれば、汎用性が出てくるものです。

●これからやって行きたいこと
 次のステージとして、営業担当者がつくる無競合ではなく、組織としてつくる無競合があります。私がやっていきたい事なのですが、まだ、おぼろげです。
 うーん、言うは易く。

祖父が私に残してくれたもの

 優しさが座っている。祖父の隣にいるといつもそんな感覚でした。
私が高専生の頃だったでしょうか。陽だまりのある庭に敷いたござの上で、祖父が私の目を見てつぶやきました。「邦彦さんよ、若けとっの苦労は、買うてでんせんないかんど」と。少し間が空いてから「うん」と静かに返しました。以来、節目節目で反芻してきた言葉です。

 昔話、説法の類は一切しない祖父で、記憶にある限り祖父が言葉で教えてくれたのはその時だけです。家族を養うために広島に出稼ぎに行った話、村に初めて電気を引いた話。その時の経験は、代え難い財産なのだと。また、明治・大正・昭和・平成の激動を駆けぬいた祖父でしたが戦時中の話は一切口からこぼれませんでした。そのことの意味を最近考えます。

 少しだけ、自身を振り返ると今日に至るまで、反省は日々多々あるけれども、後悔は無いと思えます。何故かと考えると、この一言が私の判断の基準になっているからでしょうか。私にとっては、何よりも重みのある言葉です。今までも、そしてこれからも、きっと。

 棺の前で、祖父にひとつ約束をしました。「社会の一隅を照らせる人材になる」と。私が何をしても、何をやらなくても祖父が私を咎める事はないでしょう。でも、理由は無く、祖父との約束は守りたいのです。

 棺を通して、祖父から教わったのは、命には限りがあるということ。そんな事は、知っているし分かっています。でもね、これほどまでに、肝に響いたことはなかったです。別れから2ヶ月が経ちます。最近になって何かこう、ひとつ、ふっきれた感じがあります。一度しかない人生だから、何をするべきか、どのようにするのか。自分で決めなきゃいけない。あとは、コツコツと具体的にやるだけです。

 あの時に祖父が込めた「若い時」がいつまでを指すのかは分からないけれど、そこを考えることに意味は無いのでしょう。ただただ、祖父の孫であった事に心から有難う、と思います。だからこそ、胸をはって祖父にまた会えるように、命懸けで生きてみようと思います。

じいちゃん、ありがとう。
合掌。

一言の重み(というか、余計な一言)

 本日は、装置を持ち込んでのデモンストレーション。今回は諸事情もあり自分でセットアップから操作まですることになりました。この装置を使って自分で測定したことが無かったので不安はありましたが、まあ何とかなる気もしていましたので、緊張しながらも準備をしていました。

 朝早く、移動したのでコインパークに駐車して朝マック。イメージトレーニングも十分。程よい時間になったので車を出庫しようとしたところ、出庫できない。「えっ」と思う瞬間です。9時半に行く約束。10分の所要時間を見込む距離。ただいまの時間、9時10分。焦ってもしょうがないのですぐに、コインパークの窓口に電話しました。携帯って便利ですね。電話の指示で何通りか試すものの、結局人が派遣されることに。待ち時間は、20分の見込み。この瞬間に遅刻が確定。パートナーが先に行っているはずなので状況を説明し、セットアップのいざこざを使って上手くやってもらうように依頼。

 コインパークの担当者が来るとすぐに出庫できました。怒ってもしょうがないので、サクッと出ようとするとサインを下さいとの事。この人も仕事だからしょうがないだろうと思い、作業完了確認のサイン。
その時に「いやー、良かったです。優しい人で。今回のような場合だと、怒鳴られたり、怒っていらっしゃる方が多いので。」との一言。

 本音なのだろうけど、それを言ったらおしまいでしょう。と思いながら無言で客先に向かいました。
怒って時間が戻ってくるなら怒鳴ります。時間にゆとりがあるのなら、言いたいことを言って自己満足するかもしれません。でも、真剣に時間が無いときには、最短距離をトレースできるようにするしかないのです。気づかないのかな?と思いましたが、自分も正直に言おうと思って余計なことを言うことがありそう。言ってる本人は気づかないのですよね。そんなことを考えながら移動。

 結局20分の遅刻。客先では、パートナーが上手く間をつくってくれていました。結果的に顧客側には、迷惑がかからなかったので良しとしましょう。デモンストレーションそのものは、上手くできたので気分良く帰れました。

終わりよければ全て良しかな。